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『Goodbye, Christmas Eve』

そして僕らは出会いつづける


 このパンフレットの役者紹介のページで、役者達に聞いたアンケートは「自分を変えた出会い」でした。改めて考えてみると、僕達は無数の「出会い」を経験します。出会う相手も人間ばかりではなく、例えば本、例えば映画、実に様々です。
 しかし、どのような「出会い」であっても、その全てには意味がある、と僕は思っています。その出会いをきっかけとして「(自分が)変わる」という意味です。「この本に出会って将来〇〇〇になろうと決意した」というような大きな「変わる」から、無意識のうち起こる小さな「変わる」まで、何かと「出会う」ということは、自分が「変わる」可能性を秘めている素敵なイベントだと思います。そういう観点から言うと、今回のパンフレットのアンケートは自分で意識できる大きな変化をもたらした「出会い」のことなのでしょうね。
 何かと「出会い」、何かが「変わる」。もしかしたら当たり前のことなのかも知れません。しかし、今回の『Goodbye, Christmas Eve』で描きたかったものの1つはこのことでした。生きる、ということは変わる、ということ(もちろん、変わらない、変えたくない部分もありますが)。そして「変わる」きっかけはいつでも、誰かとの「出会い」にあるもの。だからきっと「出会う」ことは「生きる」ことと同義である、と思ったのです。

 高校3年生のとき、僕は「演劇」と出会いました。そしてさらにその「出会い」は素敵な友人達との「出会い」を運んできてくれました。偶然であるのに必然であるような、「運命」などという言葉は表現しきれないほどにあまりに素敵な「出会い」でした。そして僕らはtheatre project BRIDGEを立ち上げます。僕らBRIDGEが目指すもの、それは「出会い」の場なのです。今まで演劇に触れる機会の少なかったお客さんは、僕らの舞台と出会い、僕らはお客さんと出会う、そんな場。だからBRIDGEの舞台は、お客さんがいなければ成立しません。だってお客さん無しでは「出会い」なんてありえませんから。綺麗ごとではなく、そう思います。
 だからこそ、“劇団”ではなく“project”なんです。自分たちの活動によって多くの人と出会いたい!そして僕ら自身も、実はBRIDGEという“架け橋”によってつながっているメンバーなんですね。顔なじみ同士ですが、“BRIDGE”というものを通じて公演のために「出会う」。そして・・・・・・公演が終われば「別れ」る。
 「出会い」があればどんな形にせよ「別れ」があります。僕たちは8ヶ月前、BRIDGEの生みの親である小菅慎哉と「別れ」ました。どうしようもなく寂しくなり、不安で、一時はBRIDGEの今後の活動も危ぶまれた状況でした。しかし、本当に仕方のない「別れ」だったのです。
 去っていく慎哉に、僕は心の中で「さよなら」と言いました。しかしそれは、さみしさはあったものの、希望のない、暗い顔の「さよなら」では決してありませんでした。むしろ、慎哉への感謝に満ちた、なんというか、笑顔の「さよなら」だったのです。
 物語のラストで冬二がハルに言う「さよなら」。冬二は泣いてもいなければ落ち込んでもいない。笑っていました。あの「さよなら」こそが、冬二がハルと出会い、変わっていったことの証しだと思うのです。あの別れの「さよなら」を笑顔で言ったことに、冬二のかけがえのない「出会い」を見ることができると思うのです。そして、あの冬二の「さよなら」こそがきっと、慎哉に向けて僕が呟いた「さよなら」だったと思うのです。

 本日はお忙しい中お集まりいただき、本当にありがとうございました。
 また逢いましょう。

| 2001,12,08,Sat 2:26 | theatre project BRIDGE | comments (x) | trackback (x) |

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