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『七人のロッカー』

 先日、『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』という映画を観ました。78年にカナダのトロントで結成されたヘヴィメタルバンド「アンヴィル」の現在の姿を追ったドキュメンタリー映画です。
 一時は日本にまでツアーを遠征するほどのスターバンドだったアンヴィルですが、人気はあっという間に衰え、その後はリスナーからもシーンからも忘れ去られてしまいます。そんな彼らは、デビューから30年経った今でも、地元トロントでバンド活動を続けていました。
 年齢はすでに50代、髪の毛も徐々に薄くなってきています。バンドの収入はほぼゼロ。ギター・ボーカルのリップスは給食の宅配員を、ドラムのロブは建築作業員をして生計を立てています。ライヴをやっても観客が10人以下なんてことは日常茶飯事、おまけにギャラが支払われないというトラブルにまで見舞われます。「ファッキンな新曲ができたぜ!」とレコード会社に売り込めば、「今の時代には合わない」と冷たく一蹴されてしまいます。
 それでもなお、彼らはバンドをやめようとはしません。家族や友人から白い目を向けられながらも、それでも彼らは新曲を書き、レコーディングし、ロックに夢を見続けているのです。リップスがテーブルをガンガン叩きながら、唾を飛ばしてこう言います。「ロックスターになるんだ!バカげた夢だが、絶対叶えてやる!」と。その姿はおかしくて、悲しくて、でも本当にステキで、僕は思わず泣いてしまいました。

 theatre project BRIDGEは来年の7月で結成10周年を迎えます。結成当時、地元神奈川には、僕らの他にも同世代の劇団がいくつかありました。しかし、僕が把握している限りでは、現在でも活動を続けているのはBRIDGEだけです。
 次々に活動をやめていく同期の劇団たちを見るたびに、僕は秘かに勝ち誇った気持ちになりました。しかしその一方で、まったく逆の暗い気持ちが胸の隅っこに広がるのも感じていました。なぜ僕らだけが残っているのか。芝居という夢の世界に留まっている自分たちよりも、「社会復帰」を果たしていく同期の方が、大人として正しい姿なんじゃないか。嫉妬と自己疑惑と孤独感が混じり合って、胸の奥に重くのしかかるのを感じていました。
 しかし、いざ台本を書いて稽古を始めてしまえば、そんなことはどうでもよくなるのです。たちまち楽しい気分でいっぱいになります。芝居の1本や2本じゃ僕らを取り巻く現実は何も変わらないけれど、それどころか社会生活と劇団との両立は年々厳しくなってきたけれど、それでもいつかは世界で一番面白い作品を作れるんじゃないか、途方もない数のお客さんが劇場に押し寄せるんじゃないか、そんな風に夢を見続けるのは、やっぱり楽しいことなのです。
 もしこの先20年、30年と劇団が続いたとしても、僕らはやっぱり、相も変わらず夢を見ていたい。腹の出た50歳過ぎのオジサンオバサンになっても、糖尿病や高血圧やリストラの恐怖と戦いながら、それでも僕らはまだ夢を見ていたい。ただその意志だけが、僕らが今ここにいる理由なのだと思います。

 本日はご来場いただき、本当にありがとうございました。
 そんなわけで、来年はいよいよ結成10周年記念公演です。タイトルは『バースデー』。今から6年前に上演した『500万年ララバイ』という作品を全面的に書き直します。再演と言いながら、99%新作です。
 この『バースデー』とともに、僕らはまた来年も、劇場であなたをお待ちしています。
 その日まで、僕らもあなたも、みんなで元気でいましょうね。

| 2009,11,21,Sat 14:00 | theatre project BRIDGE | comments (x) | trackback (x) |

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